日本はなぜ、近年イノベーションが起こせず、「失われた30年」に陥ってしまったのか。東京大学大学院情報学環特任准教授の大澤昇平氏は、日本衰退の根底には「大学受験のジレンマ」があるという。

日本为何近年来无法掀起创新变革,陷入“失去的30年”呢?东京大学研究生院信息学环特任副教授大泽升平说,日本衰退的根源在于“大学入学考试的困境”。

東大最年少准教授の同氏は月刊誌『Voice』12月号にて、日本再生への道を語っている。本稿ではその一部を抜粋して紹介する。
东大最年轻的副教授在月刊杂志《Voice》12月刊的访谈中,讲述了日本通往重生的道路。本文将摘录介绍其中的一部分。

 
 
敗因は「大学受験のジレンマ」

失败原因在于“大学入学考试的困境”

 

日本が平成でイノベーションを起こせず、「失われた30年」に陥ってしまった要因として、年功序列に象徴される日本型雇用の弊害がよく指摘されます。しかし大澤さんは、別の見方をしていますね。

日本之所以在平成时代无法掀起技术革新,陷入“失去的30年”,常常被指出是由于“年功序列”这一日本型雇佣的象征的弊病。但大泽老师对此持有不同看法。

日本はこの30年で何を失ったのか。それは、戦後からバブル崩壊にかけて享受してきた経済成長です。高度経済成長期には毎年二桁台で伸びてきた経済成長の勢いは、いまや完全に陰りをみせている。

日本在这30年里失去了什么?失去的,是从战后到泡沫经济破灭期间所享受到的经济增长。在高速经济成长期,经济以每年两位数增长的势头,现在已经完全湮没。

では、なぜ世界のなかで日本だけが取り残されつつあるのか。はっきりいえば、ITの技術で出遅れたからです。
那么,为何唯独日本被世界抛在身后?说白了,因为IT技术落后了。

1995年にマイクロソフトが「Windows 95」を発売して以降、ITが世界を席巻していったこの期間は、平成の歩みとほとんど重なります。

自1995年微软推出“Windows95”操作系统以来,IT逐渐席卷全球的这段时间,几乎与平成时代重合。

 

往時は「技術立国」とまで呼ばれた日本が、なぜIT化では後れをとったのでしょうか。

往昔甚至高呼“技术立国”的日本,缘何在IT化的浪潮中落后了呢?

端的にいえば、IT技術をキャッチアップする若手を育成できなかった教育の失敗が問題の根源だと思います。

直截了当地说,我认为失败的根源在于教育,教育没能培养出掌握IT技术的年轻人。

日本の学校教育は「モノ」を学習するうえでは非常に合理的にできています。中学高校で物理や化学、生物を勉強しましたよね?
日本的学校教育在学习“物的认知”方面是非常合理的。在中学、高中都会学习国物理、化学和生物,对吧?

そこで習う「質量保存の法則」といった知識は、基本的に「モノ」に関わることです。日本が自動車や電化製品を中心としたモノづくりに長けているのも、まさに教育の成果といえます。
在学校学到的“质量守恒定律”之类的知识,基本上是与“物的认知”相关的。可以说日本擅长以汽车和电器为中心的产品制造,正是教育的成果。

ところが、世界でIT化の波が広がっていたのにもかかわらず、日本の教育は相変わらず「モノ」の学習にとどまっていた。
然而,不顾全世界IT化浪潮的扩大,日本的教育一如既往,止步于“物的认知”的学习上。

デジタルの教育に本気で取り組まなかったのです。私はこの構造を「大学受験のジレンマ」と呼んでいます。
我们并没有真正地致力于数字教育。我把这个结构称为“大学入学考试的困境”。

大学受験のために学ぶ内容が、デジタル社会では役に立たない?

我们为大学入学考试而学习的内容,在数字社会中派不上用场吗?

 事実、目に見えない無形資産が資産全体に占める割合は、アメリカが26%なのに対し、日本はいまだ64%にすぎません。

事实上,看不见的无形资产在整体资产中所占的比例,相比美国的26%,日本现在还只有6.4%。

GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が世界で圧倒的存在感を示し、無形資産やデータの重要度が増すなか、日本は「IT鎖国」状態に陥っているといえます。

GAFA(Google、苹果、Facebook、亚马逊)在世界上显示出压倒性的存在感,无形资产和数据的重要性不断增加的同时,日本可以说是陷入了“IT锁国”的状态。

 

 

高専という魅力的な選択肢

高专这一充满魅力的选项

 

「IT鎖国」から脱するには、どんな処方箋がありますか?

用什么方法可以摆脱“IT锁国”呢?

「大学受験のジレンマ」を解消するには、ITスキルを学べてかつ大学に進学できればよい。これを可能にするのが高専です。
要消除“大学入学考试的困境”,只要能学到IT技能并能上大学就行了。实现这一可能的途径是高专。(注:高等专门学校是日本以培养实用型、创造型技术人才为目的的高等教育机构)

高専では1、2年生のうちに、普通科で教える科目はひととおり勉強し終え、その後はプログラミングなどの専門的なスキルを学びます。
在高专1、2年级的时候,学生把普通科教的科目全部学完,之后学习编程等专业技能。

大学教授並みにレベルの高い教員が揃い、資格試験に合格することで単位をもらえる仕組みもある。大学受験のためだけの不要な勉強をする必要はなく、自らの専門性を高めることができるわけです。
还可以有这样的机制——聚集一批水平比肩大学教授的教员,学生通过资格考试的话就能拿到学分。这样就不必只为高考而学习不必要的东西,可以提升自己专业性。

卒業後は就職する以外に、大学3年生からの編入学のかたちで「進学」も可能です。高専生が大学に入るころにはすでに高度なスキルを身に付けているため、普通の大学3年生とはまるでレベルが違います。
毕业后除了就职这个选项外,也可以从大学3年级开始以插班的形式“升学”。由于高专生在进入大学时就已经掌握了高度技能,和普通的大三学生水平完全不同。

辛苦の受験勉強の末に晴れて4年制大学に入学しても、1、2年生のうちはアルバイトやサークルに明け暮れ、まともに勉強しない人も少なくないですからね……。
因为不少人就算历尽艰辛寒窗苦读迎来春天,进入四年制的大学,在大一和大二的时间里却都以打工或社团生活度日,很少人真正用功学习……

レビゲームで、主人公が高いレベルを維持したままストーリーを再開する「強くてニューゲーム」という機能がありますが、高専出身者はまさにこれです。

在电视游戏中有这么一项功能,即主人公保持着高水平,重新开始故事情节的“强化版新游戏”,高专出身者正是如此。

高専では卒業論文を執筆する必要があるため、大学に進学する前から研究のイロハを修得しています。学歴よりもキャリアパスを考慮すれば、高専は魅力的な選択肢だといえるでしょう。

由于高专要写毕业论文,所以在上大学之前就已经掌握了研究的基础。相比学历,如果考虑职业生涯路径的话,可以说高专是很有吸引力的选择。

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